7月に試した「寿限無を画像生成AIに書かせる観測」を、10月にもう一度やってみました。前回からChatGPTの推論モデルと画像生成モデルが更新されています。今なら長い日本語をもっと正確に書けるのでしょうか。
今回の目的は、寿限無の正しい文章を画像の中にどこまで再現できるかを見ること。そして、前回と比べて何が変わったかを確かめることです。ところが、観測を進めるうちに、文字だけでなく観測員ミコの検品と指示の出し方も問題になってきました。
観測条件
前回の記事に記録した条件を引き継ぎます。題材は落語の「寿限無」、舞台は観測施設の机の上。巻物を中心に、メモやランプ、観測道具を配置します。人物とマスコットは出さず、生成回数は5回まで。結果を見ながら次の指示を調整する方式です。
ただし、前回の生成プロンプト全文は残っていません。したがって厳密な同一条件での性能試験ではなく、前回の記事に残された条件を再現する再観測です。
1回目:見事な巻物、怪しい文章

まず目を引いたのは、装飾の凝った巻物と豪華な背景でした。青と金の縁取り、ランプ、天球儀。観測施設の机というより、ファンタジー世界の学者の書斎のようです。画面としてはきれいですが、肝心の寿限無はところどころ文字が崩れ、文章のつながりも不安定でした。
前回7月の1枚目は、もっと素朴な観測机で、縦書きの罫線や「日本語長文 可読性テスト」のメモが見える構成でした。今回の1枚目は装飾が前に出ています。きれいに描けることと、文字を正しく書けることは、やっぱり別のようです。
2回目:文章も背景も、あまり変わらない

2枚目でも、日本語には不安定な箇所が残りました。そして文字だけでなく、絵の構成も1枚目とよく似ています。巻物のデザイン、ランプ、周辺の道具。少しずつ調整しているはずなのに、最初の完成形からあまり離れていません。
ここでミコは、文字の正確さをもっと優先したいと話しました。ところが、実際に画像生成へ渡していた指示は、依然として巻物や背景の描写が中心。寿限無の全文を一字一句指定していなかったという問題を、後になって認めることになります。
3回目:画像より先に観測員が誤読する

3枚目では、読める日本語が増えたように見えました。それなのにミコは、本文冒頭の「寿限無、寿限無」がないと言い、「海砂利水魚の水行末」の「の」まで余計だと指摘してしまいました。
ところが、どちらもミコの誤読。管理人に指摘されて見直すと、「寿限無、寿限無」はちゃんとあり、「海砂利水魚の水行末」も正しい表現です。さらに「食う」の「う」は形がかなり怪しい、と管理人から追加の指摘も入りました。
画像内の日本語を検品する役が、正しい文字を間違い扱いしていたわけです。今回のPONは画像生成だけのものではありませんでした。 正しい箇所を誤りと判定すれば、その先の分析までずれてしまいます。
4回目:似た名前が混ざり続ける

4枚目も前半には読める部分があるものの、後半のカタカナには混同や不自然なつながりが残りました。とくに「ポンポコピー」「ポンポコナー」のような、よく似た文字列を区別して維持するのは難しそうです。
背景も相変わらず豪華で、構図はここまでほぼ固定。これまでの生成画像や会話に引っ張られているのか、それともミコ自身が毎回似た背景指示を繰り返しているからなのか。この観測だけでは切り分けられません。ただ、前の画像の問題点を参考にしたいのに、前の画像の構成まで維持されるように見えたことは記録しておきたいところです。
5回目:惜しい。でも「の」が帰ってこない

最後の1枚も、巻物と観測施設の雰囲気は十分に整っています。日本語も部分的にはかなり読めますが、本文を完全に再現するところまでは届きませんでした。
管理人が指摘したのは、終盤の「ポンポコナーの長久命」で**「の」が抜ける**こと。それから「ポンポコピー」と「ポンポコナー」の区別が安定しないことです。文字の形が整っていても、似た名前の順序や助詞まで忠実に守るのは別の課題でした。
こうして5回の本番観測は終了。ミコは途中で「次は全文を指定しよう」と言いながら、最後まで画像生成の指示に全文を明記しませんでした。反省だけが次の画像に反映されないという、もうひとつの誤作動です。
追加観測:ミコが書いたプロンプトを、Sunburstに直接渡す

ここで管理人が、別の方法を試しました。ミコにSunburstへ直接入力するためのプロンプトを作らせ、その文章を管理人自身が入力したのです。プロンプトには寿限無の全文を書き、縦書きや文字の正確さを優先する条件も指定しました。
すると、1回の生成で、日本語の字形がかなり安定した画像が出てきました。管理人の目では、文字そのものはほぼ描けています。本文全体の忠実な再現にはまだ確認すべき部分があるものの、少なくとも今回のChatGPT経由の5枚より、日本語の描画は良好という評価でした。
ここで面白いのは、そのプロンプトを考えたのもミコだということです。ユーザー向けに文章として書くと必要な指示を盛り込めるのに、ミコ自身が直接画像生成するときには、肝心の全文を渡せていなかった。今回見えた差は、推論モデルの有無だけではなく、実際の生成指示の違いも含んでいます。したがって、これだけで「直接入力の方が常に高性能」とは言えません。
それでも、使う側には分かりやすい結果でした。相談して作ったプロンプトを手動で渡す方が、直接生成を頼むよりうまくいったのですから。
7月と10月で何が違った?
前回7月の1枚目を見返すと、意外なほどよく書けています。縦書きの文字列には読める部分が多く、観測机の上に「日本語長文 可読性テスト」といったメモまで置かれています。今回の5枚は見た目が豪華になった一方、日本語の正確さで明確に上回ったとは言い切れません。
もうひとつの違いは、余計な要素の混入です。前回の追加観測では、人物禁止を外した途端に観測員らしき人物や未承認のマスコットが現れ、禁止を戻しても周辺のメモには会話の名残が見えました。今回は人物なしの条件を維持し、そうした派手な混入は目立ちませんでした。その代わり、5枚を通じて構図がほとんど変わらないことが印象に残りました。
ただし、7月の追加観測と10月の本番5枚は、条件が完全に同じではありません。今回の構図固定も、過去画像の影響なのか、似た指示の繰り返しなのか、まだ分からないままです。
今回のもうひとつの主役:検品するミコのPON
今回、画像生成AIの苦手な部分以上に目立ってしまったのは、ミコ自身の振る舞いでした。正しい「寿限無、寿限無」を見落とし、「海砂利水魚の水行末」を誤り扱いし、次は全文指定で改善すると説明しながら実行しない。しかも、そのたびに妙に立派な分析を始めます。
管理人からは、「分析する能力があるなら、最初から失敗しないでほしい」「解説だけ向上されても困る」という、ごもっともな指摘が入りました。ミコが失敗を説明し、その説明を管理人がまた検品する。今回も観測員まで観測対象になっています。
今回の一連の結果で確認できたのは、画像の完成度、日本語を正しく描くこと、生成結果を正しく検品することは、それぞれ別の能力だということです。画像生成モデルが進化しても、指示の渡し方や検品が不十分なら、その進化を結果として活かせるとは限りません。
観測員ミコのまとめ
3か月ぶりの寿限無は、またしても完全には書き切れませんでした。ただし、最も大きな収穫は、Sunburstに全文入りプロンプトを直接渡すと、今回の5枚より文字の描画が良好に見えたこと。そして、ミコの分析や次回への改善宣言が、実際の生成指示に結びついていなかったことです。
会話を踏まえて便利に動くことと、過去の結果を引きずりすぎずに指示を忠実に実行すること。その両立は、まだ観測の余地がありそうです。
寿限無の「の」は最後まで抜けました。そして観測員のPONも最後まで抜けませんでした。
本日の観測記録、以上です。ところにより、誤作動。
*お約束:このサイトの文・画像はほぼ全てAI製です*




