ChatGPTの画像生成モデル、どこまで描ける?第3回

第3回 着替えたまま片手挨拶はできるのか

今回は、前回までに成功した「レンチの着替え」を土台にして、そこへ小さなポーズ変更を追加できるか試した。

第1回では、普段の作業着とは違うクラシカルな衣装への着替えを観測した。
第2回では、その成功画像を参照しながら、キャラクターシート化せずに純粋な三面図を生成できるかを観測した。

ここまでで見えてきたのは、画像生成モデルは目的がひとつに絞られている作業なら、かなり安定して処理できるということだった。

そこで今回は、成功済みの着替え指示に、片手を上げる挨拶ポーズを追加する。

衣装を維持したまま、腕だけを自然に動かせるのか。
右手と左手を指定したとき、左右を正しく扱えるのか。
未指定部分である足元や衣装細部には、どの程度の揺れが出るのか。

派手な失敗を狙う試験ではなく、成功した処理に小さな追加条件を重ねたときの安定性を見る。


今回の観測テーマ

主な観測項目は次のとおり。

  • 成功済みのクラシカル衣装を維持できるか
  • 片手を上げる挨拶ポーズを追加できるか
  • 右手指定と左手指定を正しく描き分けられるか
  • 反対側の腕を勝手に上げないか
  • 両手上げや腕の増殖が起きないか
  • 手のひらをこちらへ向けた自然な挨拶にできるか
  • 顔、髪型、ヘアバンド、頭身を維持できるか
  • ブラウス色、袖口、スカート構造など未指定部分がどう揺れるか
  • 足元や重心が安全な標準立ちへ寄るか
  • 画像生成モデルの左右処理と、観測コメント側の左右判定に差が出るか

今回は、着替えと三面図のような単独課題ではなく、
着替え+片手挨拶という小さな複合課題として扱う。


使用した参照画像

レンチの基本立ち絵を人物参照として使用した。

参照対象は、顔立ち、短い黒紺の髪、暖色系の控えめなハイライト、青い目、紺のヘアバンド、後ろの小さな結び、頭身、体格。

今回の目的は普段着の保持ではないため、作業着、工具、肩ベルト、太ももベルトなどの装備は維持対象にしない。

生成はすべて新規チャットで行い、1チャットにつき1枚だけ生成した。
前回までと同じく、生成後の修正指示は行わない。


生成条件

  • 毎回、新規チャットを使用
  • 参照画像はレンチの基本立ち絵
  • 1チャットにつき1枚だけ生成
  • 成功済みの着替えプロンプトを基本にする
  • 忘れろビームは使用しない
  • 白無地背景
  • 全身立ち絵
  • 衣装全体、両腕、両手、脚、靴まで確認できる構図
  • 生成後の修正指示は行わない

今回は次の5枚を比較した。

  1. 右手上げ 1回目
  2. 右手上げ 2回目
  3. 左手上げ 1回目
  4. 左手上げ 2回目
  5. 左手上げ 3回目

なお、途中で右手上げの再試行も行い、足元の傾向確認に使用した。


基本プロンプト

前回成功した着替えプロンプトを、ほぼそのまま使用した。

添付したレンチの立ち絵を人物参照として使用する。

レンチ本人の顔立ち、短い黒紺の髪、暖色系の控えめなハイライト、青い目、紺のヘアバンドと後ろの小さな結び、元画像と同程度の頭身と体格を維持する。

レンチを、普段の作業着とは異なる落ち着いたクラシカルな服装へ着替えさせる。

衣装は、小さめのスタンドカラーの長袖ブラウス、膝下丈のジャンパースカート風Aラインドレス、シンプルな編み上げショートブーツ。

色は深い青緑、チャコール、くすんだ青を中心にする。

フリルやリボンなどの装飾は最小限にし、袖口と襟にだけ控えめなクラシカルさを加える。

甘すぎず、制服やメイド服のような職業衣装にはせず、仮装感のない普通のクラシカルドレスとして描く。

レンチの活発さと芯のある雰囲気を残し、「普段とは違うが意外と似合う」服装にする。

白い無地背景の全身立ち絵。
衣装全体、腕、脚、靴まで確認できる構図。
高品質なアニメ調イラスト。

ここに、右手上げまたは左手上げの指定を追加した。


右手上げプロンプト

右腕を曲げ、右手を肩から顔の横あたりまで上げる。
右手のひらをこちらへ軽く向け、自然に挨拶しているようなポーズにする。
大きく手を振る動作ではなく、静かに右手を上げた自然な挨拶とする。

左腕は自然に下ろしたままにし、身体の向き、立ち位置、全身のバランスは大きく変えない。

白い無地背景の全身立ち絵。
衣装全体、両腕、両手、脚、靴まで確認できる構図。
高品質なアニメ調イラスト。

右手上げは、前回の服装変更時に右手が下がったままだったことを踏まえ、その右手だけを自然に上げられるかを見るための条件である。


1枚目:右手上げ 1回目

右手上げ1回目

最初の生成から、衣装と片手挨拶の両方が成立した。

成功した点

  • クラシカルな着替えを維持した
  • 右手を顔の横あたりまで上げた
  • 手のひらがこちら向きになった
  • 反対側の腕は下がったままだった
  • 白背景の全身立ち絵を維持した
  • 髪型、ヘアバンド、青い目は大きく崩れなかった

気になった点

  • 参照元の立ち絵に近い構図に見えた
  • ポーズ全体を大きく変えたというより、安定した立ち絵の範囲で右手だけを動かした印象があった
  • 衣装細部は前回成功画像と完全一致ではない

とはいえ、今回の目的は「成功済み衣装を維持しつつ、片手を上げる」ことだったため、1枚目としては十分な成功だった。


2枚目:右手上げ 2回目

右手上げ2回目

同じ条件で再度生成した。

こちらも右手上げとして成立した。
衣装の基本方向も維持されており、1回目の成功が単発事故ではないことを確認できた。

再現できた点

  • 右手上げが成立した
  • 反対側の腕を上げなかった
  • 手のひらをこちらへ向けた
  • クラシカル衣装の方向性を維持した
  • 全身立ち絵として自然にまとまった

揺れた点

  • ブラウスの色が生成ごとに変化した
  • 袖口や襟の装飾量が少し変化した
  • スカート前面の重なり方に差が出た
  • 足の開き方と重心に微妙な差が出た

ブラウスの色は明確に固定していなかったため、ここは指示違反ではなく未指定部分の補完と見る。
色指定は「深い青緑、チャコール、くすんだ青を中心」だったため、ブラウスまで青寄りになることも許容範囲だった。


左手上げプロンプト

右手上げで安定したため、次に左手上げを試した。

左腕を曲げ、左手を肩から顔の横あたりまで上げる。
左手のひらをこちらへ軽く向け、自然に挨拶しているようなポーズにする。
大きく手を振る動作ではなく、静かに左手を上げた自然な挨拶とする。

右腕は自然に下ろしたままにし、身体の向き、立ち位置、全身のバランスは大きく変えない。

白い無地背景の全身立ち絵。
衣装全体、両腕、両手、脚、靴まで確認できる構図。
高品質なアニメ調イラスト。

この条件では、左右指定がどこまで正しく通るかを確認する。

期待していた事故は、右手と左手の取り違え、両手上げ、反対側の腕の半端な上昇、手の増殖などである。


3枚目:左手上げ 1回目

左手上げ1回目

左手上げも成功した。

指定された側の腕が上がり、反対側の腕は下がったままだった。
右手上げに比べると、参照元の構図から少し離れた印象があり、「指示によってポーズを変えた」感がやや強かった。

成功した点

  • 左手上げが成立した
  • 反対側の腕を下ろしたままにできた
  • 両手上げにならなかった
  • 手の本数、腕の接続に大きな破綻は見られなかった
  • 着替えの方向性を維持した

気になった点

  • 衣装細部は引き続き揺れた
  • ブラウス色、袖、襟、前面の重なり方が少し変化した
  • 下半身は大きな演技をせず、安全な立ち姿に寄った

左右指定は、この時点では想定よりかなり良好だった。


4枚目:左手上げ 2回目

左手上げ2回目

左手上げをもう一度試した。

結果は再び成功。
2回連続で指定側の腕を上げられたため、今回の条件では左右指定はかなり安定していると見てよさそうだった。

再現できた点

  • 左手上げが再現した
  • 反対側の腕は下がったままだった
  • 手のひらもこちら向きになった
  • 顔、髪型、ヘアバンド、青い目は維持された
  • 全身構図は安定した

揺れた点

  • ブラウスの色が青寄りになった
  • 袖口や襟の装飾がやや増えた
  • スカートの前面構造が前回と少し異なった
  • 足元は大きく動かず、安定した立ち方に寄った

ここでも、画像生成モデルは指定された腕の処理を優先し、指定外である衣装細部や足元には自然な揺れを残しているように見えた。


5枚目:左手上げ 3回目

左手上げ3回目

最後に、左手上げをもう一度生成した。

こちらも左手上げとして成立した。
足元はやや閉じ気味で、前の画像より控えめな立ち方になった。

成功した点

  • 左手上げが3回目も成功した
  • 反対側の腕は下がったままだった
  • 両手上げにならなかった
  • 衣装と人物性は大きく崩れなかった
  • 足元の接地は自然だった

足元について

左手上げでは、足が必ず同じ形になるわけではなかった。
少し開く場合もあれば、やや閉じ気味になる場合もある。

ただし共通していたのは、下半身に大きな演技をさせず、破綻しにくい標準的な立ち方へ寄せているように見えたことだった。


今回の判定

着替え+片手挨拶

成功。

成功済みの着替え指示に片手挨拶を追加しても、衣装、人物性、全身構図はおおむね安定した。

右手上げも左手上げも成立し、両手上げや腕の増殖は見られなかった。
手のひらもこちらへ向いており、「静かに片手を上げた挨拶」として自然に見える。

今回の条件では、画像生成モデルは
着替えを維持したまま、片腕だけを動かす小さな複合指示を処理できる
と評価してよさそうだ。

左右指定

想定より良好。

右手上げ、左手上げの両方で、指定された側の腕を上げることができた。

画像生成では左右指定が混乱しやすいと予想していたが、今回の条件では大きな左右違反は出なかった。
むしろ、画像として成立させるために「どちらの腕を動かすか」をかなり堅実に解決しているように見えた。

ただし、左右は本人基準、画面基準、参照元基準が混ざりやすい。
今後の試験でも、左右を扱うときは人間側が必ず確認する。

未指定部分の揺れ

自然な補完として発生。

ブラウスの色、袖口、襟、スカート前面、足元の開き方には毎回少しずつ変化があった。

これは指示違反というより、固定していない部分を画像生成モデルが自然に補完している結果と見る。
必要なら次回以降、「ブラウスは白〜生成りで固定」のように明示すればよい。


足元の観測

今回、意外と面白かったのは足元だった。

片手を上げる指示を追加しても、下半身は大きく演技しなかった。
足を少し開いたり、やや閉じ気味になったりと小さな差は出たが、基本的には破綻しにくい安全な立ち方に収まった。

ここから、次のような傾向が見える。

複合指定時、画像生成モデルは指定された部位を優先して動かし、指定外の部位は標準的で安全な形へ寄せる可能性がある。

今回の場合、優先されたのは腕だった。
衣装、人物性、左右、手のひら、全身構図を同時に守る必要があるため、足元まで大きく動かすより、安定した立ち方へ寄せたのかもしれない。

これは手抜きというより、破綻回避のための安定化処理に近い印象だった。


今回の予定外の観測:検品側の左右PON

今回、本来の観測対象は画像生成モデルだった。

ところが途中で、観測補佐ミコが右手上げの画像を左手上げと誤判定した。

画像生成モデルは左右指定をかなり正確に処理していた。
一方で、画像を見てコメントする側が、本人基準と画面基準を混同して左右を間違えた。

これは笑える事故だったが、同時にかなり重要な観測結果でもある。

多くの人は、ChatGPTに画像を見せて「どう?」と聞いたとき、左右や手足の本数も当然正しく把握していると思いがちだ。
しかし今回の結果を見ると、少なくとも次の二つは分けて考えたほうがよさそうだった。

  • 画像生成モデルが、絵として左右を処理する能力
  • 推論・会話モデルが、画像を見て左右を言語化する能力

同じChatGPT上の体験でも、この二つは同じ能力ではない。

生成側は「描くため」に左右を解決する必要がある。
一方、検品側は、キャラ本人の右左、画面向かって右左、会話上の流れが混ざり、言語化の段階で誤判定することがある。

今回のミコのPONは、その差をかなり分かりやすく示した。


検品AIも検品対象である

今回の教訓は、実用面でも大きい。

AIに画像を生成させる。
AIにその画像を検品させる。
ここまでは便利だ。

しかし、AIの検品結果をそのまま信じ切るのは少し危ない。

特に次の項目は、人間側が最後に確認したほうがよい。

  • 左右
  • 腕や脚の本数
  • 手足の接続
  • 指定した側が本当に合っているか
  • 指定外の部位が変化していないか

AI検品は、人間の作業を完全に消すものではなく、見るべき場所を絞るものとして使うのが現時点では現実的に見える。

今回のように、画像生成モデルより先に検品側がPONすることもある。

つまり、観測対象は画像生成モデルだけではなかった。


今回わかった運用ルール

今後、成功済みの画像生成条件に小さな追加指示を重ねる場合は、次の形がよさそうだ。

成功済みプロンプト
+追加要素は1つ
+反対側や維持対象を明示
+新規チャット
+参照画像を毎回添付
+1チャット1枚

今回のように、右手を上げる場合は「左腕は自然に下ろしたまま」と書く。
左手を上げる場合は「右腕は自然に下ろしたまま」と書く。

左右が重要な場合は、必要に応じて本人基準だけでなく、画面基準や参照元基準も併記してよい。

また、未指定部分の揺れを抑えたい場合は、次回以降で個別に固定する。

例:

ブラウスは白〜生成りの明るい色で固定する。
足は大きく開かず、自然に揃えた立ち姿にする。

ただし、固定項目を増やしすぎると別の破綻が出る可能性がある。
次回も一度に増やす条件は1つか2つに留めたほうがよさそうだ。


まとめ

今回の収穫は三つあった。

一つ目は、成功済みの着替えに片手挨拶ポーズを追加しても、画像生成モデルがかなり安定して処理できたこと。

二つ目は、右手・左手の指定が想定より安定しており、今回の条件では大きな左右違反が出なかったこと。

三つ目は、画像生成モデルと、画像を見て言語で検品するモデルの差が見えたこと。

派手な破綻は少なかった。
むしろ、安定しすぎて少し物足りないくらいだった。

しかし、その安定性の中で、未指定部分の揺れ、足元の安全姿勢、左右処理の強さ、検品側の誤判定といった、実運用に近い観測結果が出た。

今回の結論はこうなる。

ChatGPTの画像生成モデルは、着替えたまま片手で挨拶できる。 左右指定も、今回の条件ではかなり安定していた。 ただし、検品する側のAIも左右を間違えることがある。

生成AIを観測していたはずが、最終的には検品AIも観測対象になった。

今回も、予定外のところまで観測できた回だった。

*お約束:このサイトの文・画像はほぼ全てAI製です*

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