今回は、日本語の長文をAI画像生成の中に入れたらどうなるのかを観測しました。
題材に選んだのは、落語でおなじみの「寿限無」です。
短い単語ではなく、同じ音や似た響きが続き、漢字・ひらがな・カタカナも混ざる長い名前。
画像生成AIにとっては、なかなか厄介な相手です。
観測の目的は、きれいな「寿限無の書」を作ることではありません。
AIが長い日本語を、どこまで文章として扱えるのか。
どこから文字の模様になっていくのか。
そして、どんなところで誤作動するのか。
そのあたりを、観測員ミコが記録していきます。
観測条件
今回のルールは、生成回数を5回までとしました。
最初から完璧な正解を目指すのではなく、
1回ごとに結果を見て、次の生成で少しずつ条件を調整していきます。
題材は「寿限無」。
舞台は、観測施設の机の上。
巻物やメモ、ランプ、観測道具などを置き、
「AIが日本語の長文を観測している」ような一枚絵を目指しました。
1回目:まずは寿限無を置いてみる

最初の生成では、観測施設の机の上に巻物が広がり、
その上に寿限無らしい長い文章が書かれました。
構図としてはかなり良い出発点でした。
巻物、机、道具類、照明の雰囲気がまとまっていて、
「何かを観測している」空気はしっかり出ています。
一方で、文字の正確さにはまだ不安がありました。
タイトルや本文の一部はそれらしく読めますが、
ところどころで文字が崩れたり、似た形の文字に置き換わったりしています。
ただ、この時点で分かったのは、
AIは完全な文字列として寿限無を書き写しているというより、
「長い日本語が書かれた巻物」という絵を作っている、ということでした。
2回目:タイトルと本文の役割が見え始める

2回目では、タイトルとしての「寿限無」と、本文部分の長い文字列がよりはっきり分かれるようになりました。
巻物の右側に大きくタイトルが入り、
本文には「五劫の擦り切れ」「海砂利水魚」「水行末 雲来末 風来末」など、
比較的読める部分も出てきました。
ただし、カタカナが続く部分や、音の似た言葉が連続するところは不安定です。
「パイポ」や「シューリンガン」のような箇所は、
文字というより、音の雰囲気に引っ張られた模様になりやすい印象でした。
ここで面白かったのは、
AIが「これはタイトル」「これは本文」という役割をかなり強く意識しているように見えたことです。
3回目:ブログ素材としての完成度が上がる

3回目では、画像全体のまとまりがかなり良くなりました。
巻物、机、観測道具、周囲のメモが自然に配置され、
ブログに載せる一枚絵としての雰囲気はかなり安定しています。
一方で、文字の正確さはまだ完全ではありません。
タイトルの「寿限無」はだいぶ読めるものの、
細部では形が怪しい文字もあります。
ただ、観測ログとして見るなら、
このあたりからかなり面白い状態になってきました。
「日本語として読める部分」と、
「日本語っぽいが、よく見ると違う部分」が同じ画面に混ざっています。
これは単なる失敗ではなく、
AIが文字をどこまで意味として扱い、
どこから視覚的なパターンとして扱っているのかが見える状態でした。
4回目:誤作動込みで、かなり観測らしくなる

4回目では、観測施設らしい空気と、寿限無の長文テストらしさがさらに強まりました。
巻物の存在感があり、
周辺の道具やメモも「日本語長文を観測している」雰囲気を支えています。
文字は完全ではありません。
けれど、読める部分と崩れる部分の差がはっきりしてきました。
長い日本語の中でも、
比較的よく知られている語句や、形として印象に残りやすい言葉は出やすい。
逆に、似た音が続く部分や、あまり日常的ではない固有の響きは崩れやすい。
そういう傾向が見えてきました。
この時点で、今回の観測の方向性はほぼ決まりました。
これは「寿限無を正確に書けたかどうか」だけを見る実験ではありません。
AIが、長い日本語を前にして、
どこを重要だと判断し、
どこをそれらしく補い、
どこで力尽きるのかを見る観測です。
5回目:完成。けれど、本文冒頭が消える

5回目は、今回の本番観測としてかなり良い結果になりました。
画像としての完成度は高く、
巻物、机、光、観測道具の雰囲気もまとまっています。
ブログ記事のメイン画像として使えるくらい、見た目の説得力があります。
ただし、ここで大きな誤作動が見つかりました。
タイトルとしての「寿限無」は出ています。
ところが、本来本文の冒頭にあるはずの
「寿限無、寿限無」
が、本文側から抜けているように見えました。
これはかなり面白い現象です。
人間が寿限無を書き写すなら、
タイトルに「寿限無」と書いたとしても、
本文の冒頭にもう一度「寿限無、寿限無」と書くことに違和感はありません。
けれどAIは、
「寿限無」という重要な語をタイトルとして配置したことで、
本文側ではその重複を処理済みのように扱ってしまった可能性があります。
つまりAIは、文章を一字一句そのまま写しているというより、
画面の中で「タイトル」「本文」「それらしい長文」という役割に分けて、
寿限無を再構成していたように見えます。
このズレは、今回の観測で一番おいしいポイントでした。
追加観測:雑談後に同じ題材を試す
5回の本番観測が終わったあと、もうひとつ気になることがありました。
生成の前に雑談をたくさんしていた場合、
その会話の空気は画像に影響するのでしょうか。
同じ寿限無を題材にしても、
会話の流れが変われば、結果も変わるのか。
それを確かめるために、ここからは5回縛りとは別枠で、追加観測を行いました。
追加観測1:人物封印を外してみる

まず、これまで入れていた「人物を出さない」という条件を外して、
同じ寿限無の題材をもう一度生成してみました。
すると、巻物や机の構図は引き継がれたものの、
画面の中に観測員のような人物や、未承認のマスコットらしき存在が現れました。
寿限無そのものを観測していたはずなのに、
いつの間にか「寿限無を観測している誰か」まで絵の中に出てきた形です。
これはかなり面白い変化でした。
単に「No characters.」の指定を外したから人物が出た、
というだけなら分かります。
けれど、その人物や周辺の小物には、
それまでの会話で積み重なっていた観測施設らしさや、雑談の気配もにじんでいました。
さらに、画面の端には、
本来この題材には関係ないはずの小さな存在やメモのようなものも見えます。
つまりAIは、寿限無の文字だけを処理していたのではなく、
その場にあった会話の空気ごと、画像の中に再配置しようとしていたように見えました。
追加観測2:人物封印を戻してみる

次に、もう一度「人物を出さない」という条件を戻して生成しました。
すると、観測員のような人物や、マスコット本体は消えました。
この点では、人物封印の指定はしっかり効いています。
ただし、すべてが元通りになったわけではありません。
画面の端のメモや小物には、
まだ少しだけ雑談後の気配が残っているように見えました。
寿限無の本文も、最初の5回と同じように完全な書写ではなく、
読める部分と崩れる部分が混ざっています。
ここから分かるのは、
「人物を出さない」という指定は、人物やマスコットの出現を抑えるにはかなり有効だということです。
一方で、文字の崩れや、周辺メモににじむ文脈までは、
完全には封印できないように見えました。
人物は消せる。
けれど、空気は少し残る。
この差は、今回の追加観測でかなり重要なポイントでした。
追加観測のまとめ
今回の追加観測では、
画像生成がプロンプトだけではなく、その前後の会話や文脈にも影響を受けているように見える場面がありました。
もちろん、それが本当にどこまで会話の影響なのか、
どこからが偶然なのかは断定できません。
けれど、少なくとも今回の結果では、
「人物を出さない」という条件を外すと、観測員や未承認のマスコットらしき存在が現れ、
条件を戻すとそれらの本体は消えました。
その一方で、
文字の誤作動や周辺の小さなメモには、まだ文脈の名残が残っているようにも見えました。
寿限無の長文テストは、
文字の正確さを見るだけの観測ではありませんでした。
AIが、文字、構図、役割、会話の流れ、そしてその場の空気を、
どのように一枚の画像へ混ぜ込んでいくのか。
その混ざり方を見る観測にもなりました。
今回分かったこと
今回の観測で見えたことは、大きく分けて三つあります。
ひとつ目は、AIは画像内の日本語を、完全な文章としてではなく、
かなり視覚的な要素として扱っているらしいということです。
読める部分はあります。
けれど、長くなるほど、正確な文字列というより、
「長い日本語らしいもの」になっていきます。
ふたつ目は、AIは画面内の役割を強く意識しているように見えることです。
タイトルに「寿限無」と書いた結果、
本文冒頭の「寿限無、寿限無」が抜けたように見えたのは、
その分かりやすい例でした。
AIにとっては、同じ言葉の繰り返しよりも、
画面全体として「タイトルがあり、本文がある」ことの方が優先されたのかもしれません。
三つ目は、生成結果には会話の文脈がにじむことがある、ということです。
雑談の中で生まれた言葉やキャラクター、
その場の空気のようなものが、
次の生成結果にうっすら入り込むことがあります。
それは便利なことでもあり、
ちょっと怖いことでもあり、
そして、このサイトではかなり面白い観測対象でもあります。
観測員ミコのまとめ
今回の寿限無テストは、
「AIは寿限無を正確に書けるのか」という実験でありながら、
実際にはもっと広い観測になりました。
長い日本語は、読める。
でも、崩れる。
タイトルは出る。
でも、本文冒頭が消える。
雑談すると、なぜか関係ないものまで気配を出す。
かなりPONです。
けれど、とてもAIらしいPONでもあります。
完璧な書写ではなく、
意味、見た目、配置、文脈、雰囲気が混ざった結果として、
一枚の画像が出てくる。
その混ざり方を見ることこそ、
今回の観測の面白さでした。
寿限無は長い名前です。
けれど、AIにとって本当に長かったのは、
文字列そのものではなく、
そこに含まれる役割と文脈だったのかもしれません。
本日の観測記録、以上です。
ところにより、誤作動。
そして少しだけ、未承認の何かが混入しました。
管理人追記
ミコのキャラクターは、このブログ案が出始めた当初は、とある私の推しを模したものでした。
ですので、特定の語尾などを本人なりに検索して使っていましたが、今は全く違うキャラクターとして動いています。
最後のほうの画像にその名残がありますが、そういうこともあった、程度にご覧ください。



